初めてフライトジャケットを買ったのは中２か中３の頃ですね。スティーヴ・マックィーンの遺作「ハンター」でマックィーン扮する現代の賞金稼ぎラルフ・ソーソンが着てたMA-1。何処で買ったのかというと新宿の映画館。「これが映画で使われてた服だ！」みたいな感じでロビーの売店に売ってたのを￥13000で買った。当時はフライトジャケットという名詞さえ知らなかったけど。メーカー名は忘れた・・というより気にもしなかったな。多分アルファでもアヴィレックスでも無かったと思う。

世間にフライトジャケットという物が浸透する遥か以前の話で、こんな物を着て町を歩いてる奴なんてほとんど見かけなかったなあ。友人にも「何だ？その変な服は」とか言われてからかわれたし。その後あたしが大学に入った頃、世間でもようやくフライトジャケットが認知され始め、しばらくして黒いMA-1が大ブームになったんだな。俺的には何を今更って感じだったけど。

フライトジャケット、あたしは好きです。何が良いのかと言えば無骨さかな？　ファッション性より機能を重視した作り、それでいてカッコいい。要するにカッコよさってのは狙っちゃダメなのよ。物事を深く追求した結果、自然発生的に湧き出る物だからね。

しかしMA-1はちょっと流行り過ぎたな。一時期は正に猫も杓子もMA-1、ホームレスまでMA-1のレプリカを着てたからね。そういや思い出したけど、あたしもMA-1ブームの最中気まぐれに１着だけMA-1のレプリカを￥2980で買った事がある。普通に街歩いてる時はいいんだけど、それ着て単車に乗ったら最低でね。もう、まるで何も着てないかの如く風通しが良かった。やっぱ安物レプリカはダメよ。ちゃんとミルスペックに忠実な作りがなされてる奴を買わなきゃ。

その後も友人と北海道ツーリングへ行く際に防寒着としてアメ横の中田商店でちゃんとしたMA-1を１着買ったけど、もう今じゃMA-1は着る気になれない。フライト買おうと思ったらまずMA-1以外で、って選び方しちゃってるし。別に嫌いじゃないんだけどね。

ちなみに今現在あたしが所有してるフライトジャケットは４着。ここでまたウンチク話と共にひとつひとつ紹介していきますか。

ALPHA INDUSTRIES INC. B-15C

今回は職場のモデルショット風にキメてみました（笑）　それはさておき、冬場はこれを着る機会が一番多いですね。防寒着としても申し分ないし、軽くて気楽に羽織れるのも嬉しい。それより何より重宝するのは首周りのボア。単車に乗る時こいつを立ててボタンで止めると丁度良いマフラー代わりになるのよ。この機能面の素晴らしさはライダースジャケットとして見てもショットのライダースを凌ぐと思う。まあ、コケれば破けちゃうから安全性の面ではショットの方が上だけど。

ちなみにあたしがこれを買った最大の理由は、朝鮮戦争の際にマリリン・モンローがこれを着て兵士たちの慰問に訪れたという逸話を聞き、俺もマリリンと同じ服が欲しいと思った事だったりする。

ALPHA INDUSTRIES INC. N-3B

ヘビーゾーン（極寒温度域）を想定して考案されたN-3B。これも冬場はよく着てます。雪がチラつくような寒い日は必ずこれ着て出かける。極寒仕様だけあってこれはさすがに暖かい。フードを頭に被れば吹雪が来たって平気だもんな。ただ、このフードを被るとまるでエスキモーみたいになっちゃう。ちょっと恥ずかしいので、あたしがフードを被るのは極寒の日の早朝とか深夜とかの人気の少ない時だけ。

ちなみにこれ、ちょっとファスナーがイカれててね、ファスナー交換しないとまともに使えない。ただ、N-3Bのファスナーって１メートル近くもある特注品なので、これを交換すると１万くらいかかるらしい。新品買ったって￥16000そこそこの物だから新しい奴に買い換えるか、今のを直して大事に着続けるかで悩むところ。

AVIREX U.S.A. A-2 Horsehide

これはもう「メンフィス・ベル」の影響ですね。B-17F爆撃機のクルーは操縦士や航海士がA-2、爆撃クルーがB-3を着てて、あれがメチャメチャカッコよかったんだよな。しかし、こう考えると俺って身に付けてる物のほとんどが映画にインスパイアされた物ばっかり。

ちなみにこの「ホースハイド」ってのが高くてね、定価で買うと￥72000とかする。他メーカーから牛革で￥2-30000程度の奴が沢山出てたけど、本物は馬革って事でここはあたしなりに拘っちゃった。それに馬革のジャケットなんて着た事なかったから、それが一体どういう着心地なのか一度試したかったって事もある。

もうアメ横を半日かけて歩き回ったな。10数店舗見て回った末、￥54000で売ってる店を見つけて購入。アメ横ってのは面白いところで、隣接してる店でも売値が￥１万近く異なるなんてことはザラにある。大抵の店じゃA-2ホースハイドは￥60000以上するのに、ほんの数メートル先の店じゃ￥54000だもん。これが面白くてアメ横探索は止められないんだけどね。

あと１着はイスラテックスってメーカーのCWU-45/P。現行米空軍御用達のフライトジャケットですな。これは職場に置いてあるのでモデルショットが撮れない（笑）　カメラ卓のあるサブ・コントロール室って所は機材冷却の為に強い冷房が効いててかなり寒いので、あたしはこれを着てライブに挑んでる。フライトジャケットを着込んでカメラ卓に向かうと「俺ってひょっとしてパイロット？」といった錯覚に陥る事もしばしば。

イスラテックスのCWU-45/Pを除けばナイロンはアルファ・インダストリーズ社製、レザーはアヴィレックスUSA社製という基本を崩してませんけど、別に強い拘りはありませんね。拘ってる部分があるとすれば付加価値の付いたヴィンテージモデルは買わないって事くらいかしら。

アルファやアヴィレックスからもオリジナルを忠実に再現とか本物の素材を使用とかいったヴィンテージモデルが数多く出てますが、これは全く買う気になれない。だって、あたしゃ別に空軍パイロットじゃないし、不燃素材使用とか言われても、これ着て火に巻かれる機会は恐らく死ぬまで無いと思うし（笑）素材が異なるだけで値段が半分以下になるんだったらそりゃ普及版を選びますよ。じゃあ何でホースハイドのA-2なんか買ったんだ？と言われたら返す言葉無いけど。そこだけは拘りたかったの！放っといて!!って感じ。

好みのフライトジャケットはこれで大体網羅してるけど、これ以外にも欲しい物が一つだけあって、それがシープスキンのアヴィレックスB-3ね。ただ、あの白いボアは俺が着ればすぐにラーメンの汁とかで汚しちゃうだろうし。それより何より値段が高いので購入は随分前から保留にしてる。宝くじでも当たったら買いましょうかね。