Vol.8 Ｒ指定 |
| Ｒ指定映画とは映倫（映画倫理管理委員会）によって年齢的入場制限を受けた映画の事。性的描写や暴力描写の激しい作品には時折こうしたレッテルが貼られるんだけど、キューブリックのアイズ・ワイド
・シャット（18禁）、深作欣二のバトル・ロワイアル（15禁）なんかが記憶に新しいね。 これが以前は保護者同伴以外の17歳未満入場禁止という措置をとられていた。ちなみにポルノ映画はＸ指定となり保護者同伴だろうが有無を言わさず18禁。Ｒ指定はそれよりもソフトタッチながら倫理的に多少問題のある映画が受けていた。 ちなみに俺がこの言葉を初めて知ったのは小学校４年生の時。かなり早熟って気もするけど、たまたま見たかった映画がＲ指定を受けていたので自然とこの言葉を覚えてしまった。いや、別にエロい映画が観たかった訳じゃない。いくらなんでも小４でポルノに興味を持つほど早熟じゃなかったよ。 さて、その映画が何かと言えばアルゼンチンで製作されスタッフ・キャスト全てが不明、クライマックスの殺人シーンがトリックとは思えないという触れ込みで1976年に公開されたスナッフ。なんでもラストに映画の撮影が終了したシーンがあり、そこで主演女優が監督とおぼしき男にいきなりナイフでメッタ刺しにされ腕を切り落とされ内蔵を引きずり出され絶命するらしいんだけど、これがどう見ても本物としか思えないんだと。 倫理的に問題があろうがなかろうが当時の俺はこの映画に強い興味を持った。まあ悪趣味と言われればそれまでだけど要は怖いモノ見たさだね。血を見るのは動物パニック映画やオーメンをはじめとするオカルト映画で慣れてたから更なる刺激を求めた結果本物の殺人シーンとやらを欲するに至った、と。 ところがこの映画が前記の通りＲ指定だから当時10歳の俺は一人で見る事が出来ず、親に連れてけとねだっても相手にして貰えなかった（当たり前か）。仕方なく一度は観る事を諦めたものの、この映画が当時地元の中野名画座（今じゃ閉館）でかかった時には激しく観たくなり、18歳以上だったクラスメイトのお姉さんに連れてってくれとマジで交渉したりした。結局そのお姉さんはたまたま都合が悪くこの夢もはかなく砕け散ったんだけど、今にして思えば俺も勇気ある行動を取ったもんだと我ながら感心してしまう。 時は流れて大学時代、そんな映画の事は忘れかけていた頃にビデオレンタル台頭の波が押し寄せ超三流メーカーからこのスナッフのビデオソフトもリリースされた。これをレンタルビデオ屋で見つけた時は驚喜したねえ。そして10年来の憧れだったスナッフを初めて観たんだけど・・ もう言葉もなかったね。本物としか思えないという触れ込みの殺人シーンは自主映画以下で、腕が切り落とされるシーンのクオリティは当時大学の同期だった友人が作った８ミリ映画の方が遥かに上だった。 その後知った事だけど、この映画は本来ソフトコアポルノとして製作されたもののあまりのつまらなさにお蔵入りした代物で、当時話題になったスナッフムービー（マフィアのリンチシーンなどを記録した本物の殺人フィルム）を模してラストに殺人シーンを付け加えた全くのインチキ映画なんだと。本国で話題作りの上映禁止運動を繰り広げたのも製作者本人だったという。今じゃ最低映画の代名詞的扱いを受けてるけどそれも至極当然の話。 結局この映画が当時Ｒ指定を受けたのも殺人シーンがショッキングだからじゃなくポルノ映画だからだったんだね。こんな物を小４の時に友人の姉貴に連れてって貰ってたら末代まで語り継がれるバカ扱いされたろうな。あの時あのお姉さんの都合が悪かったのはある意味じゃ神の思し召しだったのかも。 なお、俺の好奇心は止まることを知らず中学生になった頃には一般映画のみならずジャンクに代表されるモンド映画と総称される悪趣味映画も観まくったりするんだけど、これについては後日モンド映画の項目で改めて語ることにしましょう。 |
| 続く・・ |