| サスペリア(1977) イタリア映画 監督...ダリオ・アルジェント 出演...ジェシカ・ハーパー、アリダ・ヴァリ、ウド・キア |
| もう語り尽くされてるけど、とにかく全体的に支離滅裂。例えば冒頭のド派手な惨殺シーンで、アパートメントへ逃げ込んだバレエ教室の女生徒がナイフでメッタ刺しにされる傍ら、助けて！助けて！と叫ぶ女の身に一体何があったのか全く理解出来ない。それを踏まえてもあの冒頭シーンは凄いと思うけど。 思うにアルジェントって人は何かを描こうとしたら細部のつじつまとかどうでも良くなる人なんだろうね。恐らくは自分の撮ってる映画が支離滅裂だという事にすら気付いてない。で、周囲のスタッフはホントにこれでいいのかあ・・と思いながらも口に出せないんじゃないかと。だからダメなのかと言うと、それはそれで味のある個性になっちゃってる所がアルジェントの凄さか。 ただ、訳も分からずノリだけで撮ってるのかと言えばそんな事はなくて結構計算高い部分もあったりする。DVDの映像特典によると本作の主人公は10代前半の少女にしたかったらしい。ただ、倫理的にも血まみれホラーの主役に少女は使えないから少女の雰囲気を持つジェシカ・ハーパーに甘んじつつ、少女の視点だけは描きたいという事でドアノブの高さを変えてるんだと（確かに主観カットは普通よりドアノブの位置がかなり高い）。 で、忘れちゃいけないのはゴブリンの音楽。ノイジーでクレイジー、それでいてスタイリッシュな狂気のオリジナルスコアは正に空前絶後で、未だこれを越えるホラー映画の音楽は作られてないと断言出来る。この曲なしにサスペリアの成功はあり得なかったろうな。 俺はリアルタイムで観たガキの頃からこの映画を怖いと思った事がない。でも狂った背景美術や怪しい原色照明等々、大好きな部分は沢山ある。勿論、残酷描写もいい。正にイタリアならではアートホラーだね。 |
| (2007/03/15) |