スニーカー、一時期流行りましたね。まあ、あれって永遠に若者のスタンダードみたいな物だから今でもスニーカー市場は活気ありますけど。でも96-7年辺りのスニーカーブームは今にして思うと異常だったな。エアマックス95とか履いてるとおいはぎに遭った高校生とか結構いたらしいし。あたし自身はエアマックス95ってそんなに良いかねえ・・って感じで結構シラけてたな。ブラックレザーの95は嫌いじゃなかったけど95グラデ の良さは多分生涯理解出来ないと思う。

・・ってな訳で今回のお題目はスニーカーですが、これも意識的にメーカーを選び始めたのってブーツとほぼ同時期だったと思う。それまではディスカウントストアとかで安売りされてる名もないメーカーのスニーカーを無自覚に買うだけだった。自分の中でどういう改革があったのかは分からないけど、20台半ばに差し掛かった頃からあらゆる物に拘り始めた。もしかしたら、それまでの人生で繰り返した買い物の失敗を今後も繰り返したくないっていう潜在意識が働き始めたのかも知れないな。

初めて自覚的にメーカーを選んで買ったスニーカーはアディダス。理由はたまたま買った情報誌でアディダスのスニーカーが絶賛されてたから。でも、これが自分の足には全然合わなくて履き心地は最低だった。次がコンバースかな。永遠の定番、オールスターキャンパスね。カッコは好きだったけど、これも決して履き心地のいいスニーカーじゃなかった。まあ、あれは安いから作りもチャチだしね。その次は同じくコンバースのワンスターか。値段分だけオールスターよりも履き心地が良かったのでしばらくはこれを愛用してた。

あたしがそんな試行錯誤を繰り返していた頃、時代は正にナイキで犬も歩けばナイキに当たるって状態だったんだけど、あたしはナイキのスニーカーってどうしても好きになれなかった。とにかくあの派手なデザインには凄く抵抗があってね。それにナイキのスニーカーって廃れるのが早いのよ。エアマックスなんかが代表選手だけど、97が出ちゃうと96はもう履けない、みたいな雰囲気が漂ってて定番を好むあたしの趣向とは相反する訳。

ただ、同じナイキでもエアフォース１は凄く好き。今でも黒レザーのエアフォース１(MID)を愛用してるんだけどあれはカッコいいと思う。ちなみにあたしがエアフォース１を買った一番の理由は例によって映画の影響です。さて、何の映画でしょう？

答えは「ターミネーター」。冒頭シーンでマイケル・ビーンが警官に追われ深夜のショッピングセンターへ逃げ込み、１足のスニーカーを選んで試着室で履くカットがあるの。そのスニーカーがナイキで、くるぶし部分にベルトが付いててそれをキュッと締め込む。これが凄く印象的でね。あのスニーカーはエアフォース１じゃないんだけど（多分バンダル）、ベルト付きのナイキ製スニーカーって点じゃエアフォース１も同じ事。で、上野か新宿の靴屋で黒レザーのエアフォース１を買ってきた。履き心地はまあまあかな？

そのすぐ後に近所のディスカウントストアで叩き売りされてたエアマックス97を買った。忌み嫌ってたエアマックスだけど、あのエアクッションの履き心地が一体どの程度の物なのかが気になってね。結論から言うと非常に履き心地は良かった。そもそもナイキってのはファッションブランドでは無くスポーツ用品メーカーだから最先端のランニングシューズとしての品質はそりゃもう素晴らしい訳。ただ、やっぱりあのド派手なデザインは好きになれなくてね。そう感じる人が多いから黒レザーバージョンに人気が集中してプレミア付いちゃったりするんだろうな。

こんな調子で少しづつスニーカーの知識や自分なりの拘りを形にしていった頃、あたしは１足のスニーカーへ辿り着きます。いや、それまで保留にしていた物にようやく手を出したと言うべきか。それがニューバランスの1300。

とにかくニューバランス1300はどの情報誌を見ても絶賛の嵐。スニーカー特集記事でこの名前を見なかった事はないし、このスニーカーを悪く言う記事にもお目にかかった事がなかった。パッと見は飾りっ気のない単なるロウテクシューズなんだけどね。このシューズの何処にそんな魅力が備わっているのか常々気になってたんだけど、何しろ高価なので気軽には買えなかったのよ。

あたしが1300を買おうと思った頃、既にオリジナルは過去の産物でプレミア物だったけど市場には２種の復刻版が出てた。１つは完全にオリジナルを再現した物で価格は￥27000、もう一つは1300クラシックって言うオリジナルとはソールパターンや細部が異なる奴で価格は￥19000くらいだったか。細部が異なるだけで￥8000安くなるんだったらって事であたしは1300クラシックを選んだ。そして、その伝説のスニーカーに足を入れたんですが・・

なんじゃこりゃあ！ってのが率直な感想。情報誌の売り文句通り、正に雲の上を歩いてる感覚ですよ。もう陶酔してしまう履き心地の良さ。すげー！こんなスニーカーがこの世に存在したなんてって感じ。とにかく1300履いて歩くのが楽しくて、買ってしばらくの間は意味無く深夜に家の周辺を散歩したりした。その後1600っていう1300の後継モデルも買ったけど履き心地の面では1300の方が遥かに上だったな。

ニューバランス 1300CL

ちなみに数年間大事に愛用してた1300はインソールが擦り切れちゃって今では下駄箱の片隅に眠ってる。外装もそこそこ痛んでるけどまだまだ使えるレベルだから、メーカーオリジナルのインソールさえ入手出来れば復活するんだけどな。以前から１度代理店に問い合わせてみようとは思ってるんだけど、今の所インソールだけを購入出来るか否かは不明。1600の方も履き潰しちゃったので、今では履ける状態のニューバランスが手元に１足も無くなっちゃった。

でも、俺の中ではスニーカーと言えばニューバランスという確固たる価値観が出来上がっているので今後スニーカーを買う機会があればもうニューバランスしか選びません。それもメイド・イン・USA製に限る。ディスカウントストアとかで売ってる廉価版のアジア製ニューバランスは履き心地悪いからダメね。まあ値段がUSA製に比べたら1/4以下だから仕方ないけど。

今あたしが狙ってるニューバランス製スニーカーは576レザーと1400。いずれも1300に負けじ劣らぬ履き心地だという話だから一度試したくてね。それとやっぱり1300。これは是非もう一足欲しいな。ただ、前記の通りこの辺のスニーカーは￥20000近く(1300はそれ以上) するからホイホイ買うわけにもいかない。とは言え、現状ではナイキのエアフォース１以外に使えるスニーカーが無いっていう状況だから近々購入はするつもり。

しかしあたしもスニーカーに拘りを持ち始めてからニューバランスという素場らしいメーカーと出会うまでに数年の歳月を必要としましたが、その時思ったのはやっぱり物事には拘らないとダメって事。あたしが今でも以前の様に何の拘りも無く安物のスニーカーばかり買ってたとしたら死ぬまでこの出会いは無かった訳よ。それって凄く損だと思わない？　

こういう話を拘り派じゃない人にするとすぐおたく扱いされちゃうんだよね。でも、執拗に物事へ拘った結果こういう名品との出会いが用意されているのであれば、あたしゃ別に人からおたくと呼ばれても構わないや。「広く浅く」が世間一般的な常識なら、あたしは徹底的に「狭く深く」を信念におたく街道をひた走りたいと思います。

ただ、さすがのあたしも真のおたくはどうかと思うけど。お前、その幻想世界へのベクトルを少しは現実世界へも向けろよなとか思っちゃう。まあ、それが彼らの信ずる道ならそれはそれで構わないけど、取り敢えずもう少し清潔にしようや。風呂入って床屋行ってさ。それともうちょい服に気を遣おうよ。なんなら俺がコーディネイトしてやるぜ。ただ、あたしってフライトジャケットとジーンズとブーツとスニーカーにしか拘ってないから他の事はな〜んも知らないんだけどね。