タカラ変身サイボーグ１号シリーズ

「貴方にとって一番思い入れのある懐かしのオモチャは？」という質問を投げかけられたら皆さんはどう答えます？　ＧＩジョーやバービー人形、ウルトラ怪獣のソフビ人形や超合金、リカちゃん人形、ミクロマン、ガンプラ、一世を風靡したオモチャと言えば即座に思い付くだけでもこれだけありますが、あたしにとって一番思い入れのある懐かしのオモチャは何と言ってもタカラ変身サイボーグ１号シリーズ。

数あるオモチャの中であたしがこれを選んだ理由は唯一親に買って貰えたオモチャだったからって事かな？　ウチは決して貧乏って訳じゃなかったけど、親父が安月給の公務員だったのであたしのねだる物をなんでもかんでも買い与えてくれるほど裕福ではなかった。だからあたしには超合金やミクロマンには全く思い入れ・・というか思い出そのものがありません。買って貰えなかったからね。でも、下手に思い出があったりしたら今の俺の収集アイテムが更に増えちゃった可能性もあるから、その点では買い与えてくれなかった両親に感謝しなくちゃ。

話は変身サイボーグ１号に戻りますが、これが市場に出たのは70年代初頭の事。タカラから発売されていたニューＧＩジョーの金型を流用し透明パーツで形成された、全身の関節が可動するアクションフィギュアです。憶測ですが、ＧＩジョーが売れなくなってしまった為にメーカーが苦肉の策で市場に出した物なんでしょうね。

このオモチャの一番のウリは着せ替えコスチュームのバリエーションが豊富という点。当時人気のアニメや特撮ヒーローのコスチュームはほとんど網羅されており、それこそウルトラマンから仮面ライダーにまで自在に変身させる事が出来た。この辺がユーザーのツボにハマって結構売れたんじゃないかな？　ちなみにウチにあった変身コスチュームは「仮面ライダーＶ３」だけだったと思う。それもすぐ破けて捨てちゃったような気が・・　そんな訳であたしは変身コスチュームにもあまり思い入れが無い。

ところで、こいつには苦い思い出がありまして、あたしはこれを７歳の誕生日に買って貰ったんだけど、その日のうちに壊しちゃったのよ。サイボーグ１号って上半身と下半身が１本の太いゴムヒモで繋がってるんだけど、俺ってバカだから腰のパーツが何回転するのかが凄く気になったのね。結論から言うと６回転半回った。そしてゴムヒモは見事ブチ切れました。もう親には怒られるし散々な目に遭った。まあ自業自得なんだけどね。　

ちなみに腰のゴムがブチ切れた哀れな変身サイボーグの末路ですが、お袋がパンツのゴムで修繕してくれたものの、あれって透明パーツだからすっげえカッコ悪いの。更に言えばオリジナルパーツほどの弾力は得られないから腰は常にフラフラの状態。それでも１年くらいは持ってたと思うけど飽きて捨てちゃったんじゃないかな？　

その後、変身サイボーグの敵役であるキングワルダー１世もクリスマスの日に買って貰い（今にして思うと凄いクリスマスプレゼントだな）、こちらは腰のゴムヒモこそブチ切らなかったものの遊び倒しているウチに手足のパーツを１つ無くし２つ無くし、最終的にはジョニーは戦場へ行った状態になっちゃって、結局は捨ててしまったな。

ちなみにサイボーグ１号の弟分の少年サイボーグとかサイボーグジャガーなんかは買って貰えなかった。「買ってもどうせまた壊しちゃうんだろ」みたいな感じでね。最後にウチで手足のもげたキングワルダーの姿を確認したのは確か小３の頃。その後は長らくサイボーグ１号とは無縁の生活を送ります。

これが再燃したのは高校１年の時（２年だったかも？）。同期にオモチャコレクターの友人がいて、たまたま高校の近くにあるオモチャ屋をそいつと一緒に覗いた時、倉庫みたいな所にサイボーグジャガーのデッドストック品が５・６個眠ってた。別にあたしはオモチャコレクターじゃなかったけど、約10年ぶりに再会したサイボーグジャガーを見て「おお〜！　これ欲しかったけど買って貰えなかったんだよな〜」って感じでその内の１個を衝動買いしたのが始まり。

高校生とは言え一応バイトもしてたので金銭的にはそれなりの余裕があり、オモチャの１つや２つなら苦もなく買える環境にあったので、それからしばらくの間サイボーグ１号のデッドストック探索を敢行。ジャガーを買ったらサイボーグ１号も欲しくなるのが人情ってもんです。古めかしいオモチャ屋ばかり何軒も回りましたが、結果は少年サイボーグを１体見つけたのみ。残念ながらサイボーグ１号、及びキングワルダーのデッドストックは発見出来ず。

その後アンティーク・トイショップという物の存在を知り、店を訪ねてみると何体かのキングワルダーが不良在庫みたいな形でホコリかぶって陳列されてた。当時の値段は衣装付きで￥2500。あたしはその中のボディーカラーが紫で「ドクロキング」っていう衣装を付けたキングワルダーを１体購入。そのすぐ後ですね、アンティーク・トイがちょっとしたブームになったのは。

不思議なもんですが、あたしのコレクターとしてのレーダーは世間的なブームが起こる少し前に働くんです。ブームが始まる何ヶ月か前に俺ブームが起こり、欲しい物を一通り入手した後に世間でブームが起こり値段が高騰するっていう経験が１度や２度じゃない。要するに考える事は皆一緒って事なんだろうけど、あたしの場合それがほんの少しだけ早いんですな。

ただ、残念ながらブームが起こる前に肝心のサイボーグ１号を入手する事が出なかった。ブーム以前なら高くとも￥2-3000で買えたサイボーグ１号もブームの渦中では１万をオーバーしてしまい、例えバイトしてても気軽に買える代物じゃ無くなっちゃったのよ。これは不覚だったなあ・・

ちなみにブーム後もキングワルダーなら￥6000程で買えた為、ボディーカラーが緑で箱無しの奴を買ったりしてた。今じゃこれも￥２-３万するみたいね。箱付きだと￥10万近くするらしい。そして、手足のパーツと頭のソフビパーツが欠損したボディーカラーが青のキングワルダー（全４色の中で一番の稀少品）を￥2000で買ったのがサイボーグ１号シリーズの買い物としては最後になったのか。あとは何事も無く現在に至るって感じ。勿論、今でも全て大事に保管してる。

あれから10年以上の歳月が経過しましたが、実は今でもサイボーグ１号は欲しいんです。コレクションを完成させる意味でも、ガキの頃に腰のゴムをねじ切ってしまった苦い思い出を精算する意味でもね。そんな訳でYAHOO!オークションにこいつが安値で出品されてるのを見つけると取り敢えず入札してる。

でも、あたしがツバ付けた出品物には何故か高値が付いちゃうのよ。中の下くらいのコンディションの物なら運が良ければ１万そこそこで落とせる筈なのに、あたしが参戦するとどういう訳か２万近くに跳ね上がっちゃう。・・ってな調子で10余年越しの（ガキの頃からカウントすれば30年越しか）あたしの変身サイボーグコレクションは未だ終焉を迎えられずにいます。こいつだけはアホみたいに金かけて入手したくないんでね。
セクシーポーズをとるキングワルダー１世　緑バージョン

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