我が愛車ユーノス・ロードスター

自分の車を持とうと思い立ったのはあたしが24歳の時。普通免許を取得して4年、社会人になってからも3年が経過しており運転技術的にも経済的にもそろそろいいかなと物色し始めた。最初はオンボロ中古車を買い次に新車を購入という構想もあったんだけど、駐車代がかからないという恵まれた環境だった事もあり、どうせ買うなら最初から欲しい車を新車で買っちゃえって感じで購入したのが現在の愛車でもあるユーノス・ロードスター1600の初期型。

初めてこの車を見たのは深夜の情報番組だったか。北欧とおぼしき峠道を真っ赤なロードスターが疾走する映像だったんだけど、これを見た時は衝撃が走ったな。往年のロータス・エランを彷彿とさせる国産車としてはズバ抜けてハイセンスなフォルムに一発で魅了された。

ただ、その時はこれを我が愛車にとは思わなかった。デザインは確かに魅力的だけど結局2シーターのライトウェイトスポーツカーなので実用性は皆無に等しいからね。これが個人の趣味に終始する物なら問題ないんだけど、やっぱり車を買うとなれば最低でも3人が乗れて荷物も積めるだけの実用性が欲しいじゃない。

ところが、これが実際に市場に出回り始めた頃ひやかしでディーラーへ実車を見に行ったら思いっきり気が変わった。たまたま居合わせた営業担当者に少し試乗してみます?と声をかけられ、ディーラーの周辺をほんの数百メートル走ってみたらボクのハートを直撃って感じで次の瞬間には見積もりを書いてもらってた(笑)

それでも購入を決断するには至らなかったね。とにかく2シーターを買うって事は人を複数乗せ荷物を積むという車の持つ最大の利点を放棄する形になるから果たしてこれが自分にとって本当にふさわしい車か否かでさんざん悩んだ。

そしてある日の晩、人を大勢乗せたいんだったらマイクロバス買えばいいじゃん。荷物を積みたいのなら軽トラ買えばいいんだよ。お前、マイクロバスと軽トラとユーノス・ロードスター、買うんだったらどれを選ぶよ?というデタラメな理屈でそりゃロードスターを買うさという結論に達する(笑)

ちなみにロードスターは89年の秋口に販売が開始され、あたしが購入を決意した90年の春先になってもまだ納車3ヶ月待ちという超人気車だった。故に納車は夏の終わり頃。この日に合わせて連休を取り、仕事が終わったらその足でディーラーへ向かいそのまま浜松辺りまで長距離馴らしツーリングへ行ってしまった。1000km走るまで1週間かからなかったんじゃないかな。2回目のロングツーリングで箱根へ行き、走行計が1000kmを突破した瞬間にレッドゾーンギリギリまでブン回した事をよく覚えてる。

あれから早や12年が経過。今も我が愛車はこのロードスターで、余程の事がない限り買い換える気もない。ちなみに現在の走行距離は約66000km。12年も乗ってる割には大して走ってない。さすがにボディは小キズだらけなれども大きなトラブルや事故に見舞われる事もなくエンジンは快調そのもの。その気になれば向こう10年くらい現状維持でいけちゃうんじゃないかな。

ただ、不満点も多いよ。まず何と言っても2人しか乗れない&荷物が積めないってのが致命的。3人で移動する場合、車を人に任せてあたしは単車で付いていくというマヌケな事を一体何度繰り返した事やら・・

荷物もね、ちょっとデカい買い物をすると助手席にすら乗せられない。トランクにもスペアタイヤが入ってる関係上、大きな物は全く入らない。更に言えば後部座席が無いからシートを寝かす事も出来ない。何しろ国内機のエコノミークラス程もシートが寝ないので仮眠を取るのにもの凄いコツを要する。慣れれば3時間ぐらいは寝られるけど熟睡は不可能。

それと、最近の悩みのタネは雨漏り。そもそもがオープンカーだからウィンドウのサイドシールが折り畳めるように割れてるんだけど、経年劣化の為ここから雨水が垂れてくる。まあ多少の雨なら平気なんだけど集中豪雨とか食らうともう最悪。運転してれば丁度右肩辺りに滴が落ちてくるし、カバーせずに停めておくとシートが水浸し。今は雨受けにコンビニ袋をシート上へ置いて駐車させてる有様だけど、これについては対策が必要だな。

こう書くと不満だらけでいいとこ無しの印象を与えちゃうかも知れないけど、不満しかなければ12年も乗ってないよ。それを補って余りある魅力があるからこそ乗り続けてるわけで。

ディーラーで試乗した時、一番心に響いたのはエンジン音だった。そりゃハイチューンしたカスタムカーやスーパースポーツカーのエンジン音に比べたらショボい音だけど、営業担当者曰くわざと大きめの音が出るように設計したというマフラーが奏でる重低音はあたしの心を鷲掴みにするだけの魅力を兼ね備えてた。

それと言わずもがなこいつはオープンカーだから、天気のいい日にフルオープンで走れば気分いい。結構風を巻き込む設計になってるから女の子を乗せると髪がグチャグチャになるけど。

あと、さっきから欠点に挙げてる2シーターが思わぬ武器に役立つ時もある。例えば飲み会とかで意中の娘に家まで送るよと声をかけ、邪魔な奴らはゴメン、この車2人しか乗れないからとか言って有無を言わさず追い払う事が出来る(笑) つーか、本来この車ってそういう事の為だけに存在するような物なんだけどね。

走り屋の人にはボディ剛性とかコーナリング性能とか、そういう部分をも熱く語らせる車種だと思うけど、あたしはそこまでガンガン走り込むタイプじゃないし、所有した車は後にも先にもこれ1台のみだから細かい事はよく分からなかったりする。ヒール&トゥなんか出来ないし。

こんな調子で愛車ロードスターに乗り続けてるけど、事あるごとに買い換えの事も考えない訳じゃない。ただ、今も凄く調子良いから買い換える必要がないの。気に入ってるし、フルモデルチェンジされたニュー・ロードスターとか見ても全然羨ましくない。だって初期型の方が断然デザインいいもん。まあ1800ccのエンジンが恨めしく思える時はあるけどさ。

やっぱり若干無理して本当に欲しい車を新車で買ったのは大正解。これが妥協して買った別車種の中古だったら12年も乗ってないし、修理だの買い換えだので更に金は飛んだろうし、所有欲も満たさなかったろうね。

とにかく愛車ロードスターには潰れるまで乗ろうと思ってるけど今の調子じゃ潰れる事自体考えられないので、こいつとはまだまだ長い付き合いになりそうだな。



96年頃、琵琶湖畔にて。
バセドー氏病で絶不調だった頃だから激痩せ(笑)




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