右直事故で右足骨折
| 車を運転する人なら右直事故って単語をよく耳にすると思うけど、これを具体的に説明すれば直進する車両と対向車線から右折してきた車両が出会い頭に衝突する事。単車と自動車が絡んだ事故の中では発生率も死亡率も一番高い極めて危険な事故ですね。 あたし自身も学生時代に一度この右直事故で右足を骨折してる。２ヶ月間ギプス生活を強いられ実に不便な思いをしたけど、命は落とさず後遺症も無かったからまあ幸運だったと言っていいんじゃないかな。 単車に乗らない人へは常々あれほど安全な乗り物もないってな事をよく言うんだけど、いざ事故が発生した際の無力さだけは否定出来ないね。実際、あの時だって運が悪けりゃ死んでた可能性もあるし。そんな訳で、皆さんも安全運転を心がけましょうという意味合いで己のやらかした事故の模様を検証します。 その日あたしは寝坊して、１度でも遅刻すれば単位を落とすと言われる英語の講義に遅れそうだったわけ。家から大学までは単車で15分くらいの距離だったんだけど、家を出たのは講義の始まる10分ほど前だったか。時間は朝の９時前後。都心の道路が最も混み合う時間帯だね。 単車の機動性ってのは渋滞時に一番発揮される。身動き出来ない車を脇を姉貴のスクーターでスイスイ走り抜け、距離的にも大学まであと半分といった所へ来た時の事、右折しようとした軽トラックが突然目の前に現れ側面衝突。対向車へ道を譲った車の脇から直進してきた単車が出てきて右折車にぶつかるという典型的な右直事故のパターン。 この事故であたしは右膝を強打し骨折。ただ、事故直後はまさか折れてるとは思わなかったんだよね。事故を起こした単車乗りって誰しもが同様だと思うけど、自分の体の事よりまず単車のダメージが気になる。で、はじき飛ばされたスクーターへ歩み寄ろうと一歩踏み出したら右足に全然力が入らず腰砕けになっちゃう。なんというか、痛いっていうよりシビれた感覚だった。 仕方ないので左足１本でケンケン歩きをしてチョコチョコ動き回ってると、たまたまその場に居合わせた通行人から元気のいいケガ人だねえとか言われた。相手のトラックドライバーからも頼むからじっとしててくれって言われ、仕方ないので救急車が来るまでおとなしくしてた。 そして生まれて初めて救急車に乗り近くの病院へ担ぎ込まれ、レントゲン写真を撮ったら右足が折れてる事が発覚。仰々しいギプスをはめられ、その後は警察署で事情聴取をさせられたりして丸一日潰れた。言わずもがな英語の講義は落第確定。まったく、事故なんて起こすとロクな事がないよ。 ギプスをはめた２ヶ月間ほとんど家を出なかったな。松葉杖を使えば出歩けない事もなかったんだけど、とにかく膝を曲げられないから異常に歩き難くイスにも座れない。だから週一度診察の為にタクシーで病院へ行く時以外は寝たきりみたいな生活だった。まったく、あの時のことは思い出したくもない。人間、健康第一だよ。 しかし、今にして思うと自分の乗っていた単車がスクーターじゃなかったら恐らくは膝以外の所を骨折してた筈。いや、ひょっとしたら骨折すらしなかった可能性もある。結局、スクーターって足を揃えて乗るから事故を起こすと膝を痛める可能性が高いのよ。あたしの場合不幸中の幸いだったのは膝下を強打したから皿は無傷だった事か。膝の皿を割ったら生涯まともに歩けなくなるもんね。 そんな訳でこの事故以後スクーターにはあまり良い印象を持ってなくて、よほどの事が無い限り乗る気になれない。確かに便利な乗り物だとは思うけど、やっぱり事故の一件がトラウマになってる。 で、一度こういう事故を起こすと単車から降りちゃう人って結構多いみたいだけど、あたしは単車そのものに悪い印象を持つ事もなく、ギプスが外れて膝が自由に曲げられるようになったらまた懲りずに原チャリを乗り回してた。事故は怖いけど、それ以上に単車の持つ魅力の方が自分にとっては重要だったんだな。 でも、これを機にあまり無茶な乗り方はしなくなった。渋滞路でのすり抜けは単車の特権みたいな物だから今でもやってるけど、常に右折車の存在を念頭に入れてるから同じ失敗は繰り返さないし。そう考えるとあの事故も自分にとっては決して無駄じゃなったと思う。 とは言え、みんなも事故にだけは気を付けた方がいいよ。右足骨折くらいで済めばいいけど、運が悪けりゃ冗談抜きにコロッと死んじゃうからね。一つしかない大事な命を道端で落とすくらいアホらしい事もないぜ。 |